〜あなたにも聴いてほしい名盤100〜

  1. AL KOOPER,MIKE BLOOMFIELD STEVE STILLS /SUPER SESSION
    基本的には延々とジャム・セッションが続けられるだけと言うとそれだけなのですが、 これが結構心地よいのです。特にアル・ク−パーのオルガンが僕のツボにはまります。 実は何を隠そうオルガン好きなのです。何度このアルバムに合わせてキーボードを弾き、 勝手にセッションに共演させてもらったことでしょう。 このアルバムが発表されたのが1968年。 この時代の空気感が好きです。特にこのアルバムは、 ミュージシャン達が気ままに演奏を繰り広げている感じがさらにその「空気」を感じさせてくれます。
  2. JESSE ED DAVIS/ULULU
    なんとも泥臭いスライドギターが印象に残ります。 でもこのアルバムはただそれだけの作品ではありません。 久しぶりに聴いてみて、最初に感じたのは、 ジム・ケルトナーとダック・ダンによるベース&ドラムのリズムセクションの格好よさでした。 音数や速弾きではない「わかってる」演奏にワクワクさせられます。 そして、実はスライド以外のギターも格好いい。 「FATHER ON DOWN THE ROAD」 「ULULU」などで聴かれるアルペジオ系の音色も個性的で美しいものとなっています。 収録されていたインタビューを読むとどうやら、 レズリースピーカーを使用していたようです。(オルガンに使うクルクル回るスピーカーです。) 様々なミュージシャンの個性の輝きあうこのアルバムを聴くとやっぱり生演奏っていいよなと思います。 ジョンレノンのスタンド・バイ・ミ−のギターソロ等様々なセッションに顔出している彼なので、 いろいろなところで既にそれと知らずにいつの間にか演奏を耳にしている人も多いかもしれませんね。
  3. NICKY HOPKINS/THE TIN MAN WAS A DREAMER
    ビートルズファンの方には「REVOLUTION」のピアノを弾いている人としてお馴染みではないでしょうか? 心を打つピアノのインストナンバーから始まるこのアルバムには様々な曲調の曲が収められています。 ゲストボーカルを迎えたフェイセズ風の「SPEED ON」などのロックナンバーももちろん彼のロックキーボー ディストとしてのおいしいところが出ていて格好いいのですが、 本人の弱々しいボーカルで歌われるミディアムナンバーの「DORRY」や「THE DREAMER」が実に心を打ちます。 このアルバムには当時、彼が交流を持っていたたくさんのミュージシャンらが参加しています。 ミック・テイラー、クラウス・ヴーアマン、レイ・クーパーそしてあのジョージ・ハリスン。 充実しています。
  4. BILLY PRESTON/MUSIC IS MY LIFE
    前回はニッキー・ホプキンスを紹介しましたが、 ビートルズのキーボーディストといえば、忘れてはならないのは、 「GET BACK」でお馴染みのビリ−・プレストンでしょう。 このアルバムの聴きどころと言えば、まずは、 ビートルズの名アコースティックナンバーを大胆に解釈しなおした「BLACK BIRD」のポップ・ファンクヴァ−ジョンでしょう。 ブラスやストリングス、女性コーラス、 うねりを持つリズムセクションそして、アルバム全体に渡って鳴り響く、 ゴスペルタッチのピアノとオルガンはこの時代のブラックミュージックのおいしいところ取りです。 しかしなんと言っても圧巻はラストナンバーのピアノの弾き語り(一部オルガンつき)で聴くものをねじ伏 せる「MUSIC IS MY LIFE」です。 少年時代からすでにプロとしてのキャリアをスタートさせていた彼にとって、 まさに音楽が人生そのものだったことがよくわかります。
  5. Donny Hathaway/Extention Of A Man
    邦題は「愛と自由を求めて」というやつです。 73年に発表された、ニューソウルの名盤です。 オーケストラとゴスペル調のコーラスとエレキピアノの音色による荘厳なオープニング。 メロウなエレピとアコギのストローク。 ストリングやフルートが加わり厚みと揺らぎのあるバックの演奏に載せて、 美しい歌声が響きます。 実は僕は密かに70年代ニューソウルは好きだったりします。 社会的なメッセージ性のある詞ももちろんですが、 この当時のアルバムの持つ音像の広がりというか空気が好きなのです。
  6. BOB BELDEN'S MANHATTAN RHYTHMCLUB /PURPLE RAIN
    スティングやビートルズのジャズバージョンのカバーでも有名なボブ・ベルデンによるプリンスのカバー集 です。ホリ−コールやカサンドラ・ウィルソンなどが参加し個性ある歌声を聴かせてくれています。 サウンドやアレンジの美しさはもちろんなのですが、 全編を通じて伝わってくるのはプリンスの楽曲のよさです。 プリンス本人は非常にアクが強いので、本人による演奏には拒否反応を示す人も多いと思いますが、 こういう形でアレンジされたものならば聴きやすいかとも思います。 カバーされた作品によって改めてその曲自体のよさが分かるというのはディランあたりにも共通することだと思います。 ボブ・ベルデンによるプリンスカバーには「PRINCE JAZZ」という作品もありますが、 こちらはインスト寄りでもう少しジャズ・フュージョン色の強いものに なっています。(選曲も渋い。)プリンスとジャズとの相性のよさをより強く感じさせられます。
  7. LYNYRD SKYNYRD/LYNYRD SKYNYRD
    ここで何度か名前の出たアル・クーパーがが設立したサウンド・オブ・ザ・サウスから72年に発表されたサ ザンロックの名盤です。 骨太なサウンドの印象が強い作品ですが、実はほどよく洗練された部分も持ち、 意外と聴きやすいものとなっています。これもアル・ク−パーの力でしょうか。 僕は仕事等で遠く田舎に行く時には好んでこの作品をウォークマンに搭載して出かけます。 電車の窓などから広がる空を見ながら聴く名曲「フリーバード」は最高です。 ギターの音色とあのサザンロックなオルガンとだんだんと高まっていくエンディング。 僕と「フリーバード」との出会いは実は、 プロレスラーのテリーゴディ率いる「ファビラス・フリーバーズ」の入場テーマとしてでした。 いまや、そのテリ−ゴディも故人となってしまいました。 自由な鳥となった者がまた一人。少し切なくなります。
  8. Carlinhos Brown/BAHIA DO MUNDO-mito e verdade
    実はこの夏、ブラジル音楽に興味がむいてしまいました。そのきっかけとなったのがこのアルバムです。 彼の来日講演を伝えるスポットCMで流れていた曲「Crendice」(邦題は「迷信」。スティービーワンダーの曲とは違う曲です。) が聴きたくて、おそらくこのアルバムに入っている曲では、とあたりをつけて購入しました。 もともと、よく「カルリーニョス・ブラウン」の名前は耳にしていましたが、キチンとした形で聴くのは初めてでした。

    うーん、いい曲ばかりだなあ。リズムやコード感の独特さはもちろんですが、ポップで心を打つメロディーが根底にあります。 いろいろな楽器(シンセからエレキギターやパーカッション、弦楽器などなど)や、 そして現地ブラジルの人々と思われるコーラスに彩られた多彩な世界が広がります。 CDの帯に書かれた「21世紀のグローバルサウンド!」という言葉も決して褒め過ぎでないと感じました。このアルバムは非常にポップで聴きやすいので、普段ブラジル音楽など聴かないという人にもとっつきやすいのでは?と思います。

  9. BARMA69/Caetano Veloso,Gilberto Gill
    ブラジル音楽を聴く過程で出会うべくして出会ったのは「カエターノ・ベローゾ」でした。 現在に到るまで傑作を次々と生み出し続けている彼の活動の原点を辿るうちに「トロピカリズモ」という思想に行き着きました。 当時世界を覆っていたヒッピームーブメントの影響からブラジルの伝統音楽、ボサノバ、そしてロック、 フォーク等の要素を取り込んだブラジルならではの、 そして世界に通用する新たな音楽を作り出そうとした文化運動のエネルギーがいかにすさまじいものであったことかがこのライブ盤からうかがい知ることができます。 このライブ盤は軍事政権の弾圧を受け国外退去となる彼らの最後のライブを収録したもので、ハッキリ言って音は最悪に悪いです。 このアルバムから「音楽的」なよしあしを判断することはできません。ただ、観客達の恐いくらいにエキサイトした様子、「熱い」その音は分かります。 ビートルズの「サージェント・ペパー」へのブラジルからの回答などと評されているスタジオ録音盤「トロピカリズモ」という奴を聴いた時にはいまいちしっくり来なかったのですが、このライブ音源と合わせて聴くことで彼らの目指したものがいくらか分かった気がします。
  10. GEORGE HARRISON/ALL THINGS MUST PASS
    みなさんもうご存じでしょう。ジョージが亡くなりました。 ビートルズ解散後の1970年に発売されたこのアルバムには本当にジョージならではの曲がたくさん入っています。 アコーステイックギターの音色やスライドギターも。 もちろんちょっと線の細いあのボーカルも。たくさんの音楽仲間達と共にジョージが作り出した音の壁が美しいです。 「All things must pass(全ては過ぎ去ってゆく)」という言葉が今、心に響きます。
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