〜あなたにも聴いてほしい名盤100〜

  1. THE ARTIST FORMERLY KNOWN AS PRINCE/ THE GOLD EXPERIENCE
    「プリンス」から奇妙な記号に変身していた時代の彼の作品です。 ポップなメロディー&ファイト1発なギターが印象的な「CHAOS&DISORDER」も、 3枚組の力作である「emancipation」もいい作品で、 僕は大好きですが、 この黄金のアルバムに流れる病的なまでのポジティブさは強く聴く者をひきつけます。 僕の出逢った人々の中には、彼の他の作品はダメでも、 このアルバムは大丈夫という人もいました。食わず嫌いだった人はこのアルバムから入るのもよいのでは? どんな曲が入っているかというと「K1の曲」というと分かりやすいと思います。 そう、あの曲はこのアルバムに入っているんですよ。 この作品のリリースされた95年当時、ちょうどプリンスにハマっていた僕は、 このアルバムとはほぼリアルタイムで出逢うことができました。 もう7年も前なのか…。90年代はもう遠い昔。
  2. THE WHO/MY GENERATION
    それはもう8年も前になってしまうのだろうか、 まだ学生だった頃の僕は友達と高田馬場の中古CD屋を訪れた。 そこで僕はその店の棚にTHE WHOのデビューアルバムの「MY GENERATION」を発見した。 見たところ輸入盤だった。 当時THE WHOにハマっていた僕はおもわずそのCDを手に取った。でも買わなかった。 「これって確かもうすぐ日本盤が出るはずだから、今日はやめとくよ。」

    店のおっさんが複雑な表情で僕らを見ていた。そう、当時はTHE WHO結成30周年ということもあってか、 次々と彼らのアルバムがリイシューされていたのだ。 僕は「もうすぐ」発売される日本盤を買うつもりで、その店を離れた。 それから僕は待った。「MY GENERATION」が発売されるのを。 ところが!!「THE WHO SELL OUT」やらBOX SETはお店に並んでも、 いつまでたっても「MY GENERATION」だけは発売されなかった。 他のアルバムは「THE WHO SELL OUT+10」 などという10曲もボーナストラックの入っているバージョンまでもが発売されたというのに…。 こんなことなら、あの時輸入盤でも買っておけばよかった。

    いつしか、僕は「MY GENERATION」を探すことを忘れた。 (僕の同名の曲はこのトラウマ体験から生まれた、という説はウソだと思う。) そしてやっと「MY GENERATION」は発売された。 17曲もボーナストラックをつけて。こんなに僕が待たされたのは、 どうやら長年に渡って権利関係でもめていたせいらしい。 新たにミックスしなおされた音は実に臨場感があってキース・ムーンのドラムの暴れ具合もよく伝わってくる。 そして名曲「MY GENERATION」を聴いて大学のサークル時代にこの曲をTHE WHO好きの仲間達とプレイした時 ことを思い出してしまった。 この曲のイントロってギターはGのコードで4分音符がかきならされて、 ベースはただGとFをいったりきたりするだけなんだけど、 なんだか理由もなく燃えてしまうマジックがあるんだよ。 みんなでスタジオを跳ね回った記憶が蘇ったよ。

  3. LYNYRD SKYNYRD/Endagered Species
    94年のレーナード・スキナードによるアコースティックアルバム。 サザンロック、飛行機事故でメンバー3人が亡くなった、 名曲フリーバード…「レーナード・スキナード」の名前からそんな言葉が思い浮かぶ。 先日、中古CD屋のワゴンの中にこのアルバムを見つけ購入した。 60年代、70年代がビッグネームの復活アルバムとやらにこれまで何度失望させられてきたことか。 あの時代のマジックは消え失せ、やたらとクリアになってしまったサウンドだけが空しい。 そんな体験をした人も多いと思う。 このアルバムもあまり期待していなかった。ボーカルまで変わってしまったバンドが同じであるはずがない。 でもCDをプレイさせた瞬間に僕は思った。「あ、レーナード・スキナードだ」と。 僕自身がアコースティックギターを弾くからか、 特にこのアルバムのアコギプレイのセンスのよさに堪能させられた。スライドギターも南部っぽくていいね。
  4. 高田渡/系図
    72年に「ベルウッド」から発表されたアルバム。「自衛隊に入ろう」で有名な人だけど、このアルバム はほとんどの曲が他人の詩に曲をつけたもの。 堀口大学の訳詞から三木卓、死刑囚永山則夫まで、様々な詩が選ばれている。 でも少しも散漫な感じはなく、高田氏の歌声ひとつで見事に世界が完成されている。 しみじみと深い作品だと思う。 突然にえらくフォークなアルバムを選んでしまったが、実は僕自身最近いわゆる「詩」というものに深く興味 が出てきて、いろいろないわゆる現代詩人の作品を読んだり、朗読してみたりしている。 その過程で三木卓の「系図」という詩を見つけ、 「あれ?これってなんか歌になってるやつだよな」と思い出し、 このアルバムをひっぱりだして聴いてみたというわけだ。 多分きっと古臭い音楽なんだろうな。 最近耳に入ってくる日本の音楽(フォーク系のものでも!)と並べたら同じ日本の歌とは思えないよなあ。それだけになんだか僕にとっては新鮮に感じられた。 72年といったら僕の生まれた年だ。 30年もの間に「歌」は何を切り落としてきたんだろう?いいとか悪いとかでなく、 どうしてこんなに違うんだろう?不易と流行という言葉があるけど、 切り落とされたものは「流行」の部分だけだったんだろうか?本 当は「不易」であるべきものまで見失っていないだろうか? 僕自身フォークギターを持って歌ってきた人間なので、なおさら、 「日本のフォーク」というものには、愛憎半ばだ。音楽的には非常につまらないものも多いし、 詩も偏った感じのものも目につく。でもあの時代の若者をあれだけ熱くさせた「何か」はあったんだと思う。 (最近は蓮池薫さんを見ていて一番それを感じた。)
  5. PAUL WELLAR/DAYS OFSPEED
    ジャム、スタイルカウンシル、ソロのナンバーをまんべんなく、弾き語りで歌っているライブアルバム。中でもジャム後期の好きな僕は「THAT'S ENTERTAINMENT」「TOWN CALLED MALICE」などが気に入っている。ポールウェラー自身がそのキャリアの中で様々にスタイルを変えてきたこともあるのだろうが、ギター1本でもその演奏のバリエーションは多様で聴く者を飽きさせない。ここで鳴っているギターを聴くと「ああ、アルバムでも確かにポールウェラーがギターを弾いたんだろうな」と思ってしまう。アルバムでは様々なアレンジが施されているけれど、曲の核となっているのは間違いなく、ポールウェラーの声とギターだったということを再認識させられた。
  6. RODDY FRAME/SURF
    シンプルだけど実に美しい作品。元アズテック・カメラのロディフレイムのソロアルバムだ。優しく爪弾かれるギターの音色と声だけという地味な編成でありながら、その美しいメロディーによって、世界は広がってゆく。アズテック・カメラと聴き比べてみると、バックの音がアコギのみとなっているせいか、特にこのアルバムはロディフレイムがとてもいい声で歌ってくれている。心にしみるよ。
  7. LAURYN' HILL/MTV UNPLUGGED 2.0
    まさかあのローリンヒルが、アコギの弾き語りなんてやるとは思わなかった。そして実際にCDを聴いてみてさらに驚いた。時にはトチったり、止まったり、泣いたり、叫んだりしながら、必死こいて歌っている。でも、かき鳴らされ爪弾かれるギターのフレーズやリズム、メロディーはとてもセンスのよいもので、ヒップホップの弾き語りとでも言えばいいのか、実に個性的な世界を作っている。そして詞の世界は求道的というのか、非常にメッセージ性の高いものとなっている。ちなみにこのアルバムをインターネットで検索した際に、「電車の中でヘッドフォンで聴いていて、思わず涙を流してしまった」という人を複数発見してしまった。そして、危うく僕もそのひとりになりそうだった。
  8. TONY JOE WHITE/THE BEGINNING
    カウボーイハットと、もみあげがお馴染みだった南部の田舎野郎トニー・ジョー・ホワイト。95年頃、スワンプロックブームに乗ってCDが再発されて、その時に僕はこの人を知った。アメリカ南部独特の泥臭さと、黒人音楽の影響を感じるファンキーなリズム。彼の60年代、70年代の作品は格好いいブラスやオルガン、時にストリングスなどで豪華に彩られたサウンドだったりもしたのだが、21世紀になってから発表された、このアルバムは「歌とギター」だけの実にシンプルな作り。で、内容はというと…。なんともトニー・ジョーだねえ、と唸ってしまった。あの当時の作品に漂っていた格好いいノリはまぎれもなくこの人自身から発せられるものだったんだなあ。ギターだけで充分ファンキーだよ、おっさん。ますますオヤジ臭くなっていた声と合わせて、思わず笑ってしまいました。
  9. STEVE FORBERT/BE HERE AGAIN
    「ヤング・ギター・デイズ」と題されたこの人の初期の未発表トラック集を聴いてすっかりハマってしまった。ブルース・スプリングスティーンのようなロックテイストと、ジャクソン・ブラウンのような優しさを持ったこのシンガーソングライターに強く興味を持ち、「BUFFALO RECORDS」というあまり聞いたことのないレコード会社のwebサイトを訪れて、そこでこの人が弾き語りライブのアルバムを発表していることを知り、直接webサイトから注文をして手に入れたのがこの作品だ。OLDな感じのロックナンバーが印象に残る。こういう人はアコギ1本になるとフォークっぽくなりそうなものだが、この人はなぜかエルビス・プレスリーっぽい。
  10. THE BEATLES/LET IT BE...NAKED
    昨今話題のCCCDで出された日本盤は買わずに、輸入盤で買った。 正直に言うとブートやアンソロジーで聴いたことのあるバージョンもあり、 もちろん正規の「LET IT BE」は持っているので、それほどに新鮮さはない。 でも、随所に惹かれる部分があってそれなりに楽しめる。特に驚かされたのは、 「FOR YOU BLUE」のアコースィックギターのストロークが格好いい! 正規盤ではイントロだけでどこかに消えてしまっていたものがここでは、 キチンと聴き取れる。何でこれを消してしまってたのかな?

    まあ何と言っても、これまで近い時期の「ホワイトアルバム」「アビーロード」などとは明らかに音質の劣っていたこのアルバムがようやく他の作品と遜色ない音質になったことと、何度も聴くと飽きのくる曲間のジョーク、セリフなどが無くなってスッキリとしたことが、ビートルズをこれからも何度も何度も繰り返し聴くであろう僕にとってはありがたいことだ。

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