このようなご質問のメールを頂きました。
>ブースの中はだいぶ狭そうですが、録音に使える音 >にちゃんとなっているのですか?いかにも「箱の中 >で歌いましたね」というような音になってしまうの >ではないでしょうか?その大きさではきれいな音の >響きは得られないように見えますが。私も自宅録音 >用ブースを作ってみたいのですが、教えて下さい。これは「ライブ」か「デッド」で録るかの問題です。 部屋自体の響きを活かした録音を「ライブ」、 逆に部屋の鳴りなどは全く拾わず、もとの出音のみを録ることを「デッド」といいます。 たとえば「ライブ」な録音は何十畳という広さのスタジオの端と端にマイクを立てるなどして、 スケールの大きい音を自然の空気感で作るなどする手法ですが、 それと対象的に「デッド」な録音は残響や部屋の鳴りなどを極力拾わないようにし、 残響音はミックスダウン時にエフェクタで加えてやります。 実は、「たくさんのマイク」や「こだわりのアメリカのスタジオ」を使えるわけでもない状況にいる在野のミュージシャン達にとっては「デッド」で録音しておいた方が後の加工がやりやすいのです。僕は、このブースを「デッド」な環境のものとして捉えています。 内部にスタイロフォームが貼られているのは「デッド化」も考慮してのことです。 (確かに「デッド」にしておかないと、「ライブ」な音になってしまい、狭さを反映した響きになって「箱の中」っぽくなるかもしれませんね。) それから、僕は練習時もデッドな方が正確な自分の出音が分かってやりやすいと思っています。 (エコー音に頼って歌っていると気持ちはいいんだけど、本当の声の力はつかないからね。) 「部屋の鳴り」に影響されない環境って実は贅沢な環境でしょ?
というわけで、上記のメールへの回答です。
「響きを得る」という発想ではなく、 むしろ「響きを殺す」という発想で作れば問題ないですよ。 「発想の転換」ですよ!がんばって下さい!