LONELY SOLDIER


高校に入って驚いた。 英語の時間の直前、 みんな必死で辞書をひいていた。 何をやってるんだろう?と思った。 授業に出て初めて気づいた。 中学の時とは比べものにならない程、新しい単語の量が多かった。 先生はひとりひとり当てて訳させたりしている。 当然予習が必要だったのだ。 僕は思った。 ”高校の勉強とはなんと面倒くさいものなんだ!”

 小学校では家庭学習ほぼゼロでもけっこう成績がよかった。 6年生を送る会などで得意げに”別れの言葉”などをハキハキと発表する優等生をやっていた。 いわば、エリートだった。 中学校では、さすがに家庭学習ゼロでは辛かったが、テスト前にガガッっとやれば、 それなりに優秀な成績を修めていた。 (3年3学期の成績は5段階で、理科の4を除けば全部”5”だった。すごいだろ。) そんな僕に家庭で予習をする習慣などあるはずもなかった。 それでも一度くらいはやってみた。 しかし家でテストでもないのに机にむかうことにはどうにも耐えきれず、 挫折した。 割と成績優秀な者の中には、親や先生に怒られるのが恐くて、 必死になって勉強している者も多かった。 ところが僕はそんなことを気にするような奴ではなかった。 誰に注意されても”アホらしい”と思ったことは断じてやらなかった。 さらに僕はこの時期にとうとう、 ”何のために勉強なんかするんだ!”という永遠の命題に辿り着いてしまっていた。 当時僕が書いていた詞をここに恥ずかしながら公開する。

〜LONELY SOLDIER〜

偽りのバイブルに導かれ 俺達の時が過ぎてゆく 紙切れの前に座らされて 俺達の今が流れてゆく ひとすじの光りを目指して 言葉も忘れてナイフをみがく 大人達の指差すその先に 未来があると信じている LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 血を流すことない戦士達 LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 全てはそいつと戦うために コンビニエンスストアに群がって 疲れた心癒す間に 今日と同じ明日が追い掛けてきて 俺達の今が奪われてゆく うすっぺらなユーモアに少し笑って 周りを見渡しナイフをみがく 息苦しい机にしばられて 俺達の何かが壊れる音がした LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 冷たい血を持つ戦士達 LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 全てはそいつと戦うために 立ち止まったら殺られてしまう ふらつく足で走り続ける 愛は時計にはばまれて 夢は数字に教えられるだけ LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 白い血を持つ戦士達 LONELY SOLDIER LONELY SOLDIER 全てはそいつと戦うために
僕は、こんな奴になっていた。 もう優等生でもエリートでもなかった。 ”札付きの不良”にでもなれば格好良かっただろうが、 そういうわけでもなく、 結局、”よく分からない子”という線で定着してしまった。 ”変人”としての高校生活がなんとなく動いていた。

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