大阪ライブレポート(99年7月7日)

東京駅から新幹線に乗り、3時間弱で、大阪に着く。 少し居眠りでもしていれば、すぐに着いてしまう。 大阪駅に着き、そこから御堂筋線に乗り換えた。 心斎橋には、15分ほどで到着した。
オーパ心斎橋の出口から地上に出る。 ”お米ギャラリー”とかいう建物を右折すると、 アメリカ村と呼ばれる界隈にたどりつく。


東京でいうと、原宿とか渋谷のようなところなんだろう。 ファーストフードやたこやき屋、レコード屋、ライブハウス、 そしてTシャツや古着を売る店が立ち並ぶ。 高校生ぐらいの子たちが思い思いのファッションでうろついてる。 じべたに座っている奴らも多い。 東京よりジベタリアン度が高い気がする。 サンホールは、そんなアメリカ村の中にある。

サンボウルというボーリング場のBF2だ。 3月に来たときに行われていた外装工事はもう終わっていて、 実におしゃれな見た目に生まれ変わっていた。 ”おはようございます”と挨拶して中に入る。 すぐにリハーサルの準備にとりかかる。 ここのPAは悪くない。 ただハコがでかくて形が少し変わっているので、 ハコ鳴りが強い。 特に問題なくリハーサルは終了。自分の調子も悪くない。 で、やっと一息つける。 荷物をサンホールに置いて、外へ出掛ける。 やっとリラックスして街を歩ける。 金銭的に余裕があれば、古着屋さんなんかも、 ゆっくりと見てシャツの一枚も買いたいところだけど、 いつも交通費等でギリギリなのでそれはできない。 同じ理由でレコード屋にもいけない。 だからフラフラ歩くだけになってしまう。 それでも、知らない土地をうろつくのは、なんとなく気持ちがいい。 さて、少しだけカラオケボックスによって念のために、 声だしをしてサンホールに帰ると、対バンのバンド達がそろっていた。 その中で驚いたのが、ピンクパンダーというバンド。 まだ19、20くらいの若さで、 かなり精力的に活動しているようだった。 なんと、東京までツアーをやったり、CD作ったりですごいと思った。 僕も今でこそそういうこともやっているけど、 二十歳ぐらいのときには、まさかそんなこと思いつかなかったもんな。 えらい。とってもいい子たちで、売れそうだった。 悪い大人に騙されるなよ。 さて、気がつくと店もオープンの時間。 お客さんも少しずつ入ってきた。 少しオシ気味で、一番目のバンドの演奏が始まる。 少しずつ、僕の出番が近づく。

ステージにたつ。”アイニニタナニカ”でスタートした。 ”聴かれている”気がする。 後のアンケートでも印象に残った曲にえらんでくれた人が多かった。 全体的に若い子が多かった。 ちょっと読みが外れた。 わりと落ち着いた曲調のものを多く選んでしまった。 ”もっと激しめのモノをやるべきだったか?” という不安を少し感じた。 でも、みんなすごい聴いている。 ”マリー””卒業”なんか特にそれを感じた。 最後の曲”friends・・”では、みんな手拍子してくれた。 やっと盛り上がってきた。 やっぱりこういう雰囲気の曲が好きだったのか!みんな。 さて、”これから”というくらいでもう終了の時間。 30分のステージは短い。自分としては少しもの足りなかった。
楽屋に帰るとサンホールのスタッフに呼ばれる。 何だろうと思ってついていくと、 ”人からテープをきかせてもらって見にきた”、 という女の子が 待っていてくれた。 ”本当によかった!テープよりも,もっとよかった!来てよかった!”と絶賛されビックリ。ちょっといい気になった。 しばし、お客さんや他のバンドの人、店の人と語らう。 外から、たこ焼きを買ってきてつまみながら、ビールを飲む。 ああ、いいなこの瞬間。体にしみるよ。 だけど、休息のときは、ながくは続かない。

そう、 僕には”夜行バスに乗って東京へ帰る” という仕事が残っているのだ。 疲れた体とギターを抱えて地下鉄に乗って梅田駅まで。 おみやげをやっとのことで購入して、 大阪駅桜橋口の夜行バス発着口を探す。 (梅田〜大阪駅の地下は地元の人でも迷うほど複雑) ふと、気づく。 ”腹が減った!”そういえば、 ライブ終わってからたこやきしか食べていない。 でも店が開いていない。 唯一開いていた立ち食いそば屋で食べる。 全然足りない。 ”ギャ〜肉が食いたい!!”と半狂乱状態の魂をなだめ、 バスの休憩時間にドライブインでサンドウィッチでも食べよう、 (ソースカツレツサンドなんかが理想的) と思いながら夜行バスに乗る。
バスは走りだす。カーテンのむこうで大阪が遠ざかる。 なんとも言えない切ない瞬間。 シートを倒して体を楽にする。 (といっても所詮バスの座席だけど。) ヘッドフォンで今日の演奏をチェックする。 ”おおっ、録音状態がいいぞ。演奏もいい!” 演奏がよくても録音レベル設定がまずかったりして、 デモテープなんかには使えない ことがよくあるので今回は合格。 それに、 歌詞の間違いとかギターのコードを間違えたりってのも全然ない。 ただし、MCはダメだなあ。 ”大阪”ってことでちょっと緊張してるのか、何か不自然だな。 これは、編集でカットだ。 通して3回くらい聴いていると、 1時すぎにバスは休憩所に到着。 さあ、”カツサンド!!”と思ってドライブインに突入。 だが、そこで、僕を待っていたのは、 10台ほどの自動販売機だけだった。 どうしてじゃあ!!この前は食べ物売ってただろお!! 唯一あったレンジでチンしてくれる食べ物系の自動販売機で (おつまみ系用だなこれは。) ”フライドポテト”をゲット。(それも長い長い列に並んで。) すぐにバスは出発する。 慌てて座席に戻る。 モソモソとポテトを食べてなんとか腹をごまかし眠りにつく。 最初は夜行バスではよく眠れなかったけど、最近は慣れてきた。 わりと眠れる。 でも、深い眠りの海に沈んだ頃には、 すぐに、もうバスの旅は終わりの時刻になってしまう。 6:30頃には新宿にバスは到着する。 バスの中にアナウンスの声が響く。 ”おはようございます。まもなく終点新宿駅南口です。” カーテンを開けると<見慣れた>街が待っている。 安心感と旅が終わる切なさがこみあげる。

バスを降りて新宿の街を歩く。 寝不足のまま、疲れた体のまま。 もう、1時間もすると新宿はラッシュアワーの時間になってしまう。 人の波に飲み込まれないうちに、 まだ早朝の人もまばらな新宿を僕は西武新宿駅まで歩いた。 この感じ、前にも覚えがある、、。 そう、まだ僕が新宿歌舞伎町で得意げに、 尾崎豊や佐野元春の曲を、 夜通しがなっていた頃もこんな新宿の朝を見ていた気がする。 あの頃はまさか自分が大阪で演奏するなんて思わなかった。 なんだか知らないけど、 ”魂は売らない” なんて格好つけて夜に逃げていたあの頃の自分よりも、 今の自分の方が好きだな。
やっとのことで、うちに帰る。 シャワーを浴び、コンビニ弁当で空腹を満たすと、眠気がおそう。 ああ、やっと安心して眠れる。 (夕方からはバイトだけど、それまではゆっくりと休もう。)

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