自己アピールについて


実は先日某公開オーディションを観る機会があったのですが、 自己アピールタイムで一番多かったセリフはこんなのでした。

>まだまだ未熟ですが、
>音楽を愛する気持ちは誰にも負けません。
>本気です!一生懸命やります。
>自信あります!

自己アピールについての質問はいくつか受けているので、 ちょっと語らせてもらいます。 上記のような言葉は本人が真剣であることはかろうじて伝わりますが、 あまり印象はよくないです。 ずっと音楽活動をやっていると、 ”上手い人”や”すごい人”になればなるほど、 ”本気”とか”自信はあります” という発言をしなくなってきます。 それは何故でしょう? まず、”本気”なんてのは、 あくまで、”最低条件”でわざわざ語るまでもないですよね? それに音楽ってのはとても奥が深いものだから、 やればやるほど、上手くなればなるほど、 その音楽という世界自体の果てしなさに気付いてしまうものです。 だから、極めている人ほどその手のことは”語らなく”なります。 ジミヘンドリックスはいつもライブのたびに、 ”こんなもんじゃない、こんなもんじゃない!” って苛立ちながら必死で奏でたい音を探していたそうです。 (ジミは結局ドラッグで真実の音を探すという道を選んだのですが、 到着したところは”死”でした。) 要するに、音楽の世界では人によっては、 ”自信あります”なんて言っているのを聞くと逆に ”なんだ、まだこいつこの程度か。” なんて思う人もいるというわけです。 自己アピールする際には、 ”本気””自信”以外の部分を語った方が、 逆に相手にしてもらえますよ。

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