〜あなたにも聴いてほしい名盤100〜

  1. JIMMY PAGE&ROBERT PLANT/NO QUARTER
    元レッドツェッペリンの御大二人によるMTVアンプラグド(この日だけは”アンレッディド”というタイトル)ライブ音源。ほとんど元アレンジのままの”THANK YOU”なんかはファンサービスであろうということにして、面白いのはレッドツェッペリン時代のナンバーを各種の民俗楽器をバックに加えている”FRIENDS”や”FOUR STICKS”など。もともと彼らの曲の中にはケルト系の匂いを漂わせているアコーステックナンバーが多く、このアルバムはそういったこれまで隠し味的に使われていた部分を、真正面から出して来た画期的な作品だと言えます。しかしながら、どうもこのアルバムはあまり評判がよくないようです。ロック派の人々からは”こんなんロックじゃねえ。”と言われ、民俗音楽派の方々からは”つまみ食い”と批判されるというコウモリのような憂き目にあって、 某レコード店では、あわれ\980シールを貼られてしまっていました。 いや、コウモリはコウモリでいいんじゃないかな?けっこう聴いてて気持ちいいよこれ。
  2. BILLY JOEL/52nd STREET
    言わずと知れた”オネスティ”を収録したアルバムです。僕が”オネスティ”を初めて知ったのは、”オシャレ30・30”という古館伊知郎と阿川泰子のやっていたトーク番組の中での阿川泰子バージョンでした。(そう言えば、最近では綾戸智絵もやっていますよね。)その放送の翌日ツタヤに走りレンタルして何度も何度もこのアルバムを聴きました。(もちろんその後すぐにCDを購入しました。)そんな出会いをしたアルバムですが、”オネスティ”以外の曲も本当に名曲ばかりです。中でも”アンティル・ザ・ナイト”を聴くと今でも、鳥肌が立ちます。昼間はそれぞれの生活に追われる恋人達。 ”夜が来るまで・・・”と言い聞かせながら時間を費やしていきます。そして、陽が沈み、店が扉を下ろす頃、ようやく二人はつかの間の安らぎに辿り着きます。でも夜が明けたらまた同じ日常が待っている。そんなストーリーをビリージョエルは完璧なメロディーとコード進行とアレンジで歌い上げます。サックスのソロがね、またいいんだ。ま、とにかく聴いて下さい。
  3. VARIOUS ARTISTS/ATOM KIDS〜TRIBUTE TO THE KING "O.T"
    いわゆるトリビュートアルバムなのですが、トリビュートされている相手がなんと”手塚治虫”というちょっと変わった作品です。手塚作品のアニメの主題歌が収録されているのは、もちろんですが、手塚治虫の世界にインスパイアされて生まれた新たな楽曲が収録曲の半分ほどを占めているというアルバムです。参加アーティストは忌野清志郎、少年ナイフ、細野晴臣、宮沢和史、ショーンレノンなどなど多彩な顔ぶれとなっています。いい曲がたくさん収録されています。また、バックのトラックもしっかりと作らられているものが多く、 丁寧な仕事がされています。バラエティーに富みながら統一感のあるアルバムとなっていて、手塚治虫の作品世界の幅の広さがよく表現されています。最後の締めくくるのは、佐野元春のポエムリーディング。さすが大トリの貫禄、聴かせます。
  4. JEFF BUCKLEY/GRACE
    以前紹介した、ティム・バックリーの息子、ジェフの1stアルバムです。 圧倒的存在感のボーカルは実に心にグサリと刺さってくる痛みのようなものを感じさせてくれます。 時にささやき、時に絶叫するその歌声はバンドサウンドをバックにしてはいるのですが、 どうしようもない孤独の影のようなものを感じさせてしまいます。 本人の弾き語りをベースに作られたと思しき楽曲達は決してキャッチーなものばかりではありませんが、 実に個性的で奥行きのあるものになっています。 デビュー時点で既に独特のシリアスさを漂わせていた彼が間もなく水の中へとその命を葬ってしまったという知らせを聞いて、”ああ、こんな日が来る気がしていた。”と思ったのは僕だけではないはずです。
  5. NICK LOWE/THE IMPOSSIBLE BIRD
    エルビス・コステロのプロデュース等でお馴染みのニック・ロウは、 ポップ・ロックという文脈で語られることが多いですが、 このアルバムは渋いです。 イギリスの人なのですが、この作品には古きアメリカの匂いが漂います。 カントリーロックというのか、南部系というのか実に暖かみのある音楽空間が広がります。 非常にシンプルなバンド編成で無駄な虚飾は一切なしです。 ”shelley my love”の耳もとで聞こえてくるような歌声に大人の男を感じます。 特に大きな盛り上がりを見せる曲があるわけではないのですが、 繰り返し聴くのに耐えるだけの深みがあり、 僕が何度CD棚の整理をしても中古屋行きを免れてしまいます。 こういうのを売りに出してしまうようにはなりたくないな。
  6. SAMUEL PURDEY/MUSICALLY ADRIFT
    僕の友達で音楽に詳しい奴が家に来ると、必ず聴かせるのがこの作品です。 ”これ何だか分かる?””うーん、スティーリーダン?””外れ、サミュエル・パーディー。” そう、一聴してすぐに感じるスティーリー・ダンの影響。 それもそのはず、 実際にスティーリー・ダンのアルバムでプレイした人々が実際に呼び寄せられているのだから。 サミュエル・パーディー本体のメンバーはジャミロクワイのツアーメンバーとして参加したこともあるギャヴィン・ドッズとバーニー・ハーレイという二人。そういえば、よくよく聴くと本家スティーリーダンよりも、ジャズファンクなテイストがあるような・・・。でもこれを酒など飲みながらBGMとして流しているともう、だんだん感覚が麻痺してスティーリーダンを聴いているようにしか思えなくなって来てしまいます。 ここまで徹底するとはすごい。こんなことができるなんて実力がある証拠。認める。
  7. HOOTIE & THE BLOWFISH/CRACKED REAR VIEW
    実はこのバンド結構好きです。特に革新的なところはないのですが、 ロックバンドかくあるべきというようなサウンドです。 きっと、アメリカのライブハウスにはこんなバンドが山程いそうな気もしますが、 このストレートさがいいのです。何より非常に分かり易いところがよいです。 黒人ボーカルにその他白人の人々というなかなか珍しい混合編成です。 考えてみると他にはあまり無い形態です。 ボーカルのDERIUS RUCKERの声がいい感じに枯れた魅力を醸し出しています。 地に足のついた骨太なロックです。
  8. G.LOVE AND SPECIAL SAUCE/G.LOVE AND SPECIAL SAUCE
    以前に紹介したケヴ・モーとともに復活したブルースの名レーベル”Okeh”から発表された作品 です。ヒップホップ系のリズム(打ち込みではなく生ドラム)にのせたアコースティックベースとギターそしてラップ。 でもなぜかブルースという不思議なグルーヴが妙に格好いいです。 このアルバムはスタジオライブ形式で録られているので、演奏にも臨場感があって非常によいです。 どこかにまがい物的な怪しさを漂わせながらそれが格好よいです。 同じくブルースを志向しながらもエリッククラプトンのような生真面目さが感じられず、 なんかどこかいい加減な感じがしてしまいます。 でもこれはあくまで褒め言葉です。このダレた感じはブルースの大御所の黒人のおっさん方にも通じますよね。 (補足:あ、クラプトンも好きですよ、もちろん。)
  9. JOHN SIMON/LAST SUMMER
    「ラストサマー」という映画のサウンドトラックのようですが、映画はよく知りません。 ザ・バンドのプロデュースでもお馴染みのジョン・サイモンを中心にサイラス・ファーヤーや、 ザ・バンドのレヴォン・ヘルムやガース・ハドソンらが参加してウッド・ストック周辺の香りのするアルバムです。サントラだけあって謎のインストナンバーも奏でられてますが、 チープなキーボードやシタールの音色が実に「あの時代」テイストです。 また意外にグルーヴィーな曲も収録されてなかなか気分がよくなります。 いろいろな音楽が不思議なバランスで混ざりあい、 ヴァラエティにとんでいて、ちょっと変ですが、面白いです。 リラックスした気持ちでどうぞ。
  10. JONI MITCHELL/HEIJIRA
    初期はフォークなスタイルだったジョニ・ミッチェルですが、 このアルバムではラリー・カールトンやジャコ・パストリアスらのジャズ畑の人々が参加して、 独特の音世界は作られています。水彩画のように淡く繊細な世界。 不思議な空気がアルバム全体を覆っています。 一曲に使われている楽器の数は少なく、隙間の多い編成なのですが、 逆にその隙間を自由に美しく音が泳ぎ回っています。 ちなみにジョニ・ミッチェルの作品では、 泣く子も黙る超豪華メンバーのライブ盤「SHADOWS AND LIGHT」も有名です。 そちらの方はパット・メセニーやらマイケル・ブレッカーも参加して大変なことになっています。 気分によっては僕は多少too muchを感じることもあります。 アルバムヴァージョンとライブヴァージョンの聴き比べもよいかもしれません。
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