〜あなたにも聴いてほしい名盤100〜

  1. PRIMAL SCREAM/GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP
    1994年の発表当時はなんだよストーンズの真似か、 とそれほど評価していなかったのですが、 でも今聴きなおしてみるとい曲がたくさん入っています。何より、 演奏に勢いがあるので聴いていて気持ちがいいものとなっています。 グルーヴ感のある曲も多く、聴いていて躍動を感じます。 南部テイストとソウルミュージックの香り。 ゲストミュージシャンもストーンズやPファンク周辺の人々が参加しており、 それまでのロックのよき伝統を継承しつつ、 決してそれらに臆することなく彼等なりの世界を展開しています。 ま、あまり難しいことは言わずに楽しんで聴くのがベストでしょう。 そうそう、ロックって気持ちいいんだよ。
  2. THE COLLECTORS/CANDYMAN
    ザ・コレクターズから1枚選ぶにあたっては結構悩みました。 トータルアルバムとして美しさと切なさを共存させた「虹色サーカス団」か? それとも、名曲「世界を止めて」を収録した「UFO CLUV」か?いやいや、 やはり佳曲揃いの「NO.5」か。 ま、とりあえずストリングスやブラス等も加わったポップサウンドなこのアルバムにしてみました。 コレクターズのポップな線がここでひとつ極められたのだと思います。 コレクターズの魅力ってなんなんだろう? 個性的な歌詞、60年代近辺のサウンド、単純だけれど切れ味鋭いギター、 そして加藤ひさしのロックなサウンドの中でも熱くそして甘く響くあのボーカル。 もっと一般に認知されていいバンドだといつも思っています。
  3. BRIAN WILSON/I just wasn't made for these times.
    ビーチ・ボーイズ時代とソロの作品をアコースティック&黒人コーラスで再演したアルバムです。 ミディアムテンポのナンバー中心に落ち着いて聴けるアルバムになっています。 ビーチ・ボーイズというとその名の持つ先入観からか、 明るく健康的で深みのないものかと思われがちですが、決してそれだけではありません。 このアルバムはちょっと年老いたブライアン・ウィルソンの優しい歌声が心地よいです。 でも一曲だけ痛々しさを感じさせるトラックが「still i dream it」です。 ブライアンが70年代後半にドラッグ中毒の中で紡ぎ出した名曲のデモバージョンが収録されています。 そう、この作品はブライアンのドキュメンタリーフィルムのサウンドトラックであったので、 こういった構成になっています。 「ペットサウンズ」(ビーチボーイズの名盤「ペットサウンズ」はもちろん既聴済ですよね?) とは対照的に、 楽器数はあまり多くなくシンプルな構成なので素の楽曲の良さがよく分かるものとなっています。 ブライアン・ウィルソンの長いキャリアの中から選ばれた美しい楽曲をじっくりとご堪能下さい。
  4. EAGLES/DESPERADO
    イーグルスの2作目のアルバムです。 イーグルスと言えば「ホテル・カリフォルニア」というのが一般なのですが、 「ホテル・カリフォルニア」=イーグルスという捉え方にはちょっと賛同しかねます。 イーグルスの全キャリアから考えるとむしろ、 「ホテル・カリフォルニア」は異色作という位置になるのではないでしょうか。 サウンド作りもモダン(当時の、ですが)なものになっているし、 ちょっと洗練されすぎてしまって、 僕の好みではありません。そんなことを思いながら、 「ホテル・カリフォルニア」のCDについていた解説をチェックしたところ、 やはり、こんなふうに書かれていました。

    このアルバムをきき終わったファンの多くは異口同音にこう言うはずだ。 「これが、あのイーグルスなの?」

    LP時代のものをそのまま流用して掲載されたこのコメントが示す印象こそが、 イーグルスのキャリアの中での「ホテル・カリフォルニア」の正しい捉え方なような気がします。 フォークやカントリーを上手にロックの中に取り入れ、アコギやバンジョー、 ドライブ系の音色のエレキギター、そしてコーラス、 といった音色で聴かせてくれるのが本来のイーグルスだったのではないでしょうか? (この辺はリアルタイムで体験した世代でないので、 「断言」というわけにもいかないですが。) そんなわけで今回は、ある「ならず者」の生涯をコンセプトアルバムとして様々な曲で綴った、 この「DESPERADO」を選ばせてもらいました。 名曲「デスペラード」も入っているし。 (実は「ホテル・カリフォルニア」よりもこの曲の方がずっと好きです。)

  5. BOB DYRAN/the bootleg series volume 1〜3 [rare&unrealeased]1961-1991
    以前にトリユビュート物は紹介しましたが、 本人のものはまだだったことと、 さらに最近このアルバムを入手し、感動したのでここに紹介します。 長年聴きたいと思っていあたのですが、 3枚組ということと、 未発表曲(NGもの)中心に作られていることもあってなかなか聴く機会がありませんでした。 このアルバムは年代別に編集され一人のシンガーソングライターの軌跡を知ることができます。 ウディ・ガスリーに憧れた時代、 フォークのプリンス時代、そしてフォークロックの確立。 特にライク・ア・ローリングストーンがもともと3拍子だったことには驚かされました。 名盤と呼ばれる数々の作品の制作されていく過程を知ることができます。 まるで、ディラン本人からスタジオにこっそりと招待されたような気分になってしまう作品です。
  6. BOB MARLEY AND WAILERS/LIVE!
    ボブ・マーリーのCDはたくさん出ていますが、 僕はこの作品が一番好きです。 レゲエのリズムはシンプルですが曲中で繰り返し聴き続けているうちに独特のノリを感じてきます。 ここに収録されているどの曲も、 オリジナルアルバムのバージョンよりも伝わるもののある熱い演奏になっています。 例えば、同じくボブ・マーリーのライブ盤である 「BABYLON BY BUS」の方がいくらか洗練されたサウンドで、 楽器の音の分離もよいのですが、 この「LIVE!」の方のが塊となってくる感じが好きです。 クラプトンがカバーしたことでも知られる「I SHOT THE SHERIFF」や、 アルバムバージョンよりもゆったりと優しさをこめて歌われる 「NO WOMAN,NO CRY」 (観客の歌声から始まります。ベスト盤の「LEGEND」に入っているのは、 このライブバージョンの方です。)、 また、 観客とのコール&レスポンスが格好いい「GET UP,STAND UP」などが収録されています。 ボブ・マーリー関連ではUKブラックの人々による「ONE LOVE」というトリビュートアルバムもなかな かよかったですよ。
  7. SUGAR BABE/SONGS
    山下達郎・大貫妙子、プロデュースに大滝詠一、 作詞に伊藤銀次というものすごいメンバーにより、1975年に発表された作品です。 われわれの世代にとって、「ひょうきん族」のテーマとして馴染みの深い、 "DOWN TOWN"や、 飯島直子・松本明子らのやっていた「DAISUKI!」のテーマの"SHOW"など聴き覚えのあるナンバーが収録されています。素敵なシティポップなどと言うと、 ちょっと恥ずかしいですが、 確かにこの作品を聴きながら昼下がりの町並みをふらふらと歩くと実に気持ちがいいです。 ピアノやパーカッション系の音色とコーラスワークはビーチボーイズを思い出させます。 この時代においてすでにこれだけの洗練されたコード感を持った楽曲が生まれていたと思うと驚きです。
  8. TERENCE TRENT D'ARBY/SYMPHONY OR DAMN
    ミクスチャー系ブラック・セルフレコーディングということで、 プリンスやレニ−・クラビッツと制作姿勢は似ているかもしれません。 この作品はロック・ファンクのみならずボサノバやカントリーまでを取り込んでいるのですが、 かといって決して華やかではないのです。 どこな屈折した暗さがどこかに残っています。 内省的な個の中に生まれた宇宙といった印象を受けてしまいます。 この感じは、プリンスの"come"などとも共通するかもしれません。 そういえば、この作品は某レコードマニア雑誌ではビーチ・ボーイズ"PET SOUNDS" と同質の感動を得られる作品として紹介されていました。
  9. STEPHEN STILLS/MANASSAS
    バッファロー・スプリングフィールド、 CSN&Yを経てソロ活動を開始していたスティブン・スティルスが結成したバンド、 マナサス。ブルースやカントリーからの影響を受けたサウンドが心地よいです。 そして、このアルバムでは実に効果的にラテンパーカッションが使われていることも忘れてはなりません。 また、コーラスも厚く、 音楽的に非常にバラエティーに富んでいます。 もちろん、スティブン・スティルス独特のリズムで刻まれるあのギターも聞けます。 LPでは2枚組だったようですが、CDでは1枚になっています。 それぞれの面がコンセプトを持って分けられているようなので、 ちょっともったいないかもしれません。まあ、面倒でなくていいのですが。
  10. ROBERT JOHNSON/THE COMPLETE RECORDINGS
    なんとなく、ブルースが聴きたくなり棚から引っぱり出して聴いていたところ、 ちょっとハマってしまいました。 ギター1本でここまで表現力があるとは恐ろしいことです。 ベース音を刻みながら、しっかりとスライドでオブリガードをいれ、 なおかつ歌っている・・うーん、すごい。 リズムアプローチの面白い曲もたくさんあります。 (「PREACHING BLUES」とかね。) 歌詞はなんだか変わっていて少々気持ち悪いやつもあります。 「地獄の猟犬がつきまとう」とか「おれと悪魔と」とか。 こういう曲を淡々と歌われると却ってゾッとします。(ちょっと格好いいけど。) ストーンズのカバーした「LOVE IN VAIN 」やクリーム時代にクラプトンがカバーした 「CROSS ROAD BLUES」辺りが有名なところでしょうか。 このアルバムを聴き終わって思わずスライドバーを探してしまいました。 ロバート・ジョンソンはすごいな。とてもこんなふうには弾けない。
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