準備〜制作編


  1. カセットMTRだって〜最低限の機材でも〜
    さてそれでは、準備にとりかかりましょう。 もしまだ、MTRを持っていないならば、購入しましょう。 最近ではハードディスクやらADATやらいろんな機材が出ていますが、 ここでは、なるべくお金はかけないようにしたいので、 カセット4trぐらいでがまんしましょう。 (INPUTの端子が4つあるもの、エフェクタのセンドリターンのあるもの、 イコライザーのついているものが使いやすいでしょう。) ”たった4trで何が出来る!”と言う人もいるかもしれませんが、 少なくともビートルズは、たった4trで、”サージェント・ペパーズ” を完成させたのだから4trだって捨てたものじゃないです。 それに現代では、シンセやシーケンサーなどもあるので、 ビートルズよりも条件はいいはずです。 ビートルズが”サージェント・ペパーズ”を作っていく過程は、 ビデオでも詳しく紹介されているので、 レコーディングをやろうとする人なら一度はみておいた方がよいと思います。 勉強になるし、なにより、やる気がでます。

    (と書いたのですが、最近はビートルズのこの辺の映像がなかなか手に入りにくいようです。その代わりになるものとして、「classic albums」というシリーズがオススメです。洋楽の名盤とされるアルバムを当時を振り返りながらその制作過程を関係者の人々が語っています。スカパー!やGyaoなどでも放送されていました。検索してみましたがDVD化されているものとしては、「エルヴィス・プレスリー」「ザ・バンド」「エルトンジョン」「ルーリード」「スティーヴィーワンダー」「U2」「ジミ・ヘンドリックス」「スティーリーダン」などのものがあります。僕は特に「ザ・フー」のものが非常に良かったと感じました。あの名盤「フーズ・ネクスト」の制作過程が語られた上に、ピートタウンゼンドの弾き語りによる「無法の世界」までが楽しめます。)

     カセットであっても、”聴く人”に対して何を伝えたいかを、 忘れずに、聴かせどころを弁えたものなら充分聴いてもらえます。 それに、高い機材を買っても使いこなさなければ、 全く意味がないです。 僕の知り合いでも何人か、 せっかく高い機材を買ってもロクに使いもしないで、 ”ただ持っているだけ”の人がいます。 録音の基本はカセットでもハードディスクでも同じです。 まずは、安いカセットMTRを使いこなせるようになってから、 本当に自分が欲しい機材は何なのか充分考えてから、 高級機の購入をすることを勧めます。

    *最近はカセットMTRも機種が少なくなってしまい、ハードディスクやコンパクトフラッシュなどを使うものなどが主流となりました。ただいずれにせよ、初心者の方には、まず「安くて分かりやすい」タイプのものを購入することを僕はオススメします。楽器屋さんなどで「自分でも操作できそうだ」と感じるものを選びましょう。あまり操作の難しいものだと結局「買っても使わない」なんてことになりがちです。また、少ないながらもカセットMTRもまだ販売されています。「TASCAM MF-P01」「TASCAM PORTA 02 MK2」や、「Fostex X-12」などはなんと驚きの「1万円前後」で買うことができます。まず「最初の1台」としてこのレベルのものからスタートするのもいいと思います。

  2. それでもこれだけは必要
    • よいマイク(SHURE-SM57SM58など)
    • エフェクタ(リバーブ、コンプ/リミッター)
    • サブミキサー(MTRをもう一台という手もあり)
    これくらいは、欲しいです。最低限、 人に聴かせる音を作るには、どうしても必要です。 まず、マイクに関しては、 間違っても、 ディスカウントストアで買ったカラオケマイクなどを使ってはいけません。 音の抜けが全然ちがいます。 ミックス時に抜けの悪い音を聴かせようとして、 ボリュームを上げれば、ノイズの割合が増えて音が悪くなります。 例としてあげたSM-57,SM-58はデモテ作りではおなじみのモデルです。 57はウィンドスクリーン (マイクのヘッドについているまるっこいやつ)のないもの、 58はあるものです。 57はギターの録音などに、58は歌の録音に使うとよいでしょう。 ”MTR買ってお金が・・”という人でも無理して欲しいところですが、 どうしても苦しければ、奥の手があります。 大抵、街の練習スタジオではSM-58がセッティングされています。 実際上ほとんどの録音は練習スタジオを利用して行うのですから、 スタジオ内のマイクをMTRにつないで使いましょう。 (まあ、ときどきサビまくっているやつなんかもあるけど・・)
     次にエフェクタですが、コンプ/リミッターは、 まず録りのときにはほぼ全パートに(シンセにはあまり使わないけど) ”かけながら”録ってあげることになります。 ピーク(最大にでかい音)を抑えて、録音レベルをあげるのが目的です。 リバーブはミックスダウンのときに、 音にいわゆる”エコー”をかけて格好よく響かせるのに使います。 理想的にはそれぞれ単体のものを買いたいところですが、 ”マルチエフェクタ”1台でまかなってもいいでしょう。 マルチならバンドの中でひとりくらい (主にギタリスト)は持っていると思います。
     それから、サブミキサーはあると便利です。 要するに”MTRの他に、もう一台ミキサーを買え!”ということです。 コンプのかけ録りをしたりするのにも必要です。 で是非バンドさんにお勧めしたいのが、 メンバーの誰かがももう1台MTRを買うことです。 当然MTRはミキサーとして使えるし、 2台あると、便利です。 ”ああ〜、今日はレコーディングの予定だったのに、 あいつはバイトで来れない!MTRはあいつが持っているのに・・” なんて事態も避けられます。 4trフルに録音してものを、もう1台にステレオ2trにミックスダウンして、 空いた2trトラックにさらに重ねて・・・とやっていくと永遠にいくらでも音を重ねられますし。 (やたらと音を重ねるのは本当はお勧めではないけど。) まあ、”とてもとてもそんな金が・・”という人達は、 ”練習スタジオにあるミキサーをMTRにつなぐ作戦”で頑張りましょう。 ただ、スタジオによっては、 ”つなぎかえ禁止”のところもあるのでそういうところではやめましょう。 それと、ゲインをあげすぎたり、 ギターやベースを直でミキサーに突っ込むのは、 スタジオの機材を壊すことになりますので、充分注意しましょう。 あとは、当たり前のことですが、 外した線はスタジオアウトの際には、元通りに直しておきましょう。 (つまり、最初につなぎかえるときに、 後でちゃんともどせるように配線を確認しておかねばなりません。) ほったらかしにすると、 そのスタジオは次回から”つなぎかえ禁止”になるかもしれないですよ。
     いろいろな機材が必要になって大変ですが、 そういったものを購入する過程で”なじみの店”ができるようになると、 助かることもあります。仲のいい店員さんができたりすると、 人によってはいろいろ相談にのってくれたり、 よりよい商品情報をくれたりもします。 楽器屋の兄ちゃんはときに馴れ馴れしい人や、 逆に恐い人もいたりですが、 ”ここで買った機材で録ったんです。”と言えば、 音楽好きの人達ですのでデモテを聴いてくれたりするかもしれません。 その楽器屋さん主催のコンテストで優勝してレコードデビュー!も、 夢ではないかも。(”かも”・・・ですが。)
  3. さあ、録ってみよう
    さていよいよ実際の録音作業に入りますが、 この部分についてはこのサイトでは深くは述べません。 なぜなら、世の中には、それに関する本がたくさん出ていますし、 そちらを参照した方がいいと思います。 僕からは、 ”聴いてくれる人の存在を忘れずに・・”ということにつきます。 とりあえず、 自分でレコーディングをする過程で大変役にたった本がありますので、 そちらを紹介しておきます。 ”デモテープ制作ハンドブック”安斎直宗著(リットーミュージック刊)です。 各楽器の録り方からリミッターの設定値などなど丁寧に書いてあります。 (最近は絶版のようですが、「イーブックオフ」で検索すると中古が見つかる事もあります。またこれに代わる本として「デモ・テープの作り方 Home recording」「デモ・テープ制作に強くなる本! MTRの基礎から最新デジタル技術まで」の2冊を紹介しておきます。) 加えて、リンク集の方にそれに関するお勧めサイトを紹介しておきますので、 そちらを参照して下さい。
     ただ、このサイトでは、 初心者の陥りがちな”ワナ”については、 独立させて、 次の”よくある失敗とその解決法”の中で述べていこうと思いますので、ご心配なく。
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